なぜ、Web制作会社をコンペで選ぶと失敗するのか
Webサイトを新規で立ち上げたい、自社サイトをリニューアルすることになった、制作会社を変えたい。そんなWeb制作を依頼するために、コンペ形式でWeb制作会社を選定したら失敗してしまった…。実はそんなケースは少なくありません。なぜ、Web制作会社をコンペで選ぶと失敗するのか──ありがちなコンペでの失敗例と、コンペを実施しない方がいい理由、失敗しないWeb制作会社の選び方をお伝えします。
Web制作会社をコンペで選んではいけない理由
コンペとは、複数の制作会社から最適な発注先を選択する方法です。基本的に依頼内容をRFP(Request For Proposal:提案依頼書)に記載し、複数の制作会社に提案を依頼することが一般的です。発注側の企業はその提案書をもとに、制作会社を選定します。
コンペで制作会社を選ぶメリットには、以下のようなことが挙げられます。
- コンペのメリット
1 2 3 4 5 6 7 | 1.優れたデザインや今までにないアイデアに出会うことができる 2.制作会社の提案品質・価格を見極め、同じ基準で選定できる 3.コンペの<span>RFP</span>作成で、具体的に実現したいことを整理できる 4.上司や社内関係者を納得させやすい |
メリットを並べるといいことだらけに思えますが、実はこのメリットには大きな落とし穴があります。まずコンペで選ぶ場合、メリットで挙げた上記2つのように、ほぼデザインや提案書の出来栄えだけで決めてしまうケースがほとんど。デザインの好み・良し悪しだけで制作会社を決めてしまうと、コンセプトメイキングやUI/UX等のサイト設計がおざなりになっている会社に発注してしまう可能性があるのです。
また、デザインだけで制作会社を決めてしまい、発注後に制作会社の実力がわかるケースは少なくありません。実際に制作を依頼してみたら進行管理が雑だったり、納期が守られない、要望通りに進まず修正が増えて見積もりよりもコストがかかってしまったなど、発注してみないとわからない点も多々あります。
3番目のRFPの作成ですが、サイト制作の目的や実現イメージを固めておくことは、コンペでなくとも必要なこと。発注側がやりたいことを明確にして、どのようなものを作り上げたいのかは、社内関連部署やチームメンバー・上長などの意見をまとめておかないと、途中で案件が遅延したり、コストが増大するリスクにもつながります。逆にここで発注側が求める要件を明確にしておけば、コンペでなくても発注する会社の選定は可能となるでしょう。
最後の社内関係者を納得させやすいというメリットにも落とし穴があります。絶対に相見積もりを取らなくてはいけない企業では、各社の提案内容や見積価格を表にまとめ、稟議を通すケースが多いです。
例えば、A社は300万、B社は350万、C社は200万円の見積金額だが、C社の提案内容はイマイチだったとします。B社の提案内容がA社よりも50万高い価値があればB社にしますが、殆どの場合、最終的なジャッジは金額に着地することが少なくありません。しかし、その無難な選択が制作のクオリティを担保するとは限りません。目的であるサイト制作に最適な条件や制作会社との相性で選ぶことがサイト制作を成功に導きます。
優れた制作会社はコンペに参加しない!?
では、逆にコンペで制作会社を選ぶデメリットについて紹介しましょう。
- コンペのデメリット
1 2 3 4 5 | 1.優秀な<span>Web</span>制作会社はコンペには参加しないことが多い 2.コンペの準備にリソース・スケジュール・予算等の確保が必要 3.作品のクオリティや制作会社のスキルが予測しにくい |
最も大きなデメリットとしては、優秀なWeb制作会社はコンペには参加しないことが挙げられます。なぜかというと、コンペに参加するためには案件の目的・趣旨を理解し、提案内容を固め、サイトの仕様やデザインラフを作成し、制作体制や見積もり金額を検討して提案書を作成します。当然それ相応の時間や予算を要しますし、コンペに勝った場合に備えて他の仕事を断る場合もあります。
また、コンペに参加するために使う人件費やリソースは、コンペに負けた際は単に赤字となるだけではなく、アイデアや知見だけを使われてしまうリスクもあるのです。しかも、参加社数が多くなるほど、コンペに勝つ確率は低くなります。
実力のある制作会社は、あえてコンペに参加せずともクライアント企業からの依頼が途切れず、上記のようなリスクを負わなくても仕事に困ることはありません。むしろ今ある仕事をこなすことに悩み、人材獲得の方に関心を寄せているのです。
ありがちなコンペでの失敗・トラブル例
続いて、実際によくありがちなコンペでの失敗例・トラブル例を紹介します。こうしたことが日常的に起こっていることが、優秀な制作会社がコンペを避けてしまう要因となっています。
【ケース1】ビジュアルデザインで選定したら、サイト設計がボロボロに
「かっこいいデザインのサイトにしたい」という上司の要望で、見積額も安く、チーム内でも最も評判が良かったビジュアルをデザインした制作会社に発注。ところが、サイト内の遷移などのUI設計はイマイチで、サーバー周りやSEO対策などの知識や技術が不足しており、結局途中で別の制作会社に依頼しなおすことになりました。予定していたリリース日に間に合わず、予算も超過。デザインや費用だけでなく、開発体制やサイト構築や運用のノウハウを持つ制作会社を選ぶ必要性を実感したそうです。
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【ケース2】コンペのRFP資料の要件が不十分で制作会社を振り回す
初めて、自社サイトのリニューアル担当になった広報のAさん。Webサイトの知識はまだ浅く、前任者の資料をもとに新たに声をかけた制作会社5社にコンペを開催しました。RFP資料を作ることに精いっぱいで、事前に制作会社との打ち合わせや要件の説明などもそこそこにコンペ当日に。Aさんが作成した要件は、実際のニーズよりも古い情報や要求が混ざっており、現在のサイト構成とずれていることがその場で判明。制作会社によって事前に伝えられている情報も差異があったため、提案内容や見積金額もバラバラ。その場は準備不足をお詫びし、コンペは後日改めて行われることとなった。
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こうした事例からもわかるとおり、デザインや見積価格・表面的な提案内容だけで判断するケースや、担当者に決裁権がなく、上司や経営層に振り回される案件は、その後のプロジェクトがうまくいかないことが多いようです。
やはり、担当者がサイトで実現したい要件を明確にし、制作会社から優れた提案をもらえるように正確で具体的な情報を伝え、十分なコミュニケーションをした上で判断することが望まれます。
コンペをせずに制作会社を選ぶにはどうしたらいい?
では、どうやって制作会社を選べばいいのでしょうか。制作会社が考える「コンペをせずに制作会社を選ぶコツ」をご紹介します。
制作会社の担当者を見極める
制作会社を選ぶ上で、一番重要なポイントはその案件をどんな人が担当するかです。コンペはRFP(提案依頼書)に課題や要望が書かれているのですが、実際は要件定義やコンセプトメイキングはきちんとヒアリングした上でないと出せません。1~2回の打ち合わせやオリエンテーションだけでは、完璧なデザインや仕様書を出すのは不可能に近いと言えます。
コンペで決まるのは「デザインがいいから」「こんな雰囲気のサイトが好き」といったビジュアルイメージが決め手になることが多いですが、そうすると先に述べたとおり、進行管理や納期が曖昧なまま進行してしまいがちです。フロントに立つ担当者がプロジェクトの全容を把握していないと、いくらデザインが良くても結局発注側が全部指示をしなければならなくなり、負担が大きくなってしまいます。
デザインなどの表面的なことではなく、信頼できる人が担当としてフロントに立ってくれる、プロジェクトをしっかり回してくれる制作会社を選ぶことをお勧めします。
候補企業の絞り込みは段階・回数を重ねる
制作会社を選ぶのは、お見合いのようなもの。自分に合いそうな人を何人か選んで、デートをしたり、一緒にごはんを食べたりするうちに、「この人がいいな」って絞っていきますよね。相手のことをよく理解できない状況で、いきなり結婚を決めるのは難しい。それと一緒です。
コンペを結婚相手探しに例えた場合、1回のお見合い(デート)で結婚相手を選ぶようなものです。相当ハードル高いですよね。1回のコンペで制作会社を選ぶとはそういうことです。
製造業でいえば、工場を見学して製品が作られている現場や製品が作られている工程を確認して発注します。要は、工場見学はWebサイトでいう要件定義を決めるための打ち合わせだと言えます。
提案書や企画書だけで、相手を知らずに発注するのは不安が多いです。だから、コンペという形式に囚われた選定方法ではなく、実際に打ち合わせを重ねた上で決めた方が安心・安全なのです。
Webサイト制作に対して、総合的に強い制作会社を選ぼう
制作会社を選ぶ際は、デザインだけで判断せず、サイトの設計力、システム開発・コーディング、UI/UX、SEOなどのマーケティングまで、総合的に強みを持つ制作会社をお勧めします。大規模サイト制作・運営などの実績も参考にするとよいでしょう。
信頼できる制作会社を見極めるためのチェックポイントを挙げてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 | ・制作会社が自社の<span>Web</span>サイトに力を入れている ・営業担当者が十分な知識を持ち、積極的に提案してくれる ・ネガティブな意見を伝えてくれる(イエスマンではない) ・デザイン以外の話を積極的にする(要件定義やサイト設計の重要性など) ・見積もり項目が詳細に分かれている |
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