近年、CMS(Contents Management System)はWebサイト制作によく使用されていますが、CMSについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。CMSは誕生して25年ほど経っており、年数を経るごとに進化しています。
多数の中小企業では、Webに触れる専門家がいない場合が多く、Webサイトを制作する予算も少ないため外注しづらい状況です。また、細かい修正などをWeb制作会社などに依頼をすると時間もコストも手間もかかり、情報鮮度が保てません。
そこで必要となってくるのがCMSです。
中小企業など企業がホームページをしっかりと活用したいと考える場合は、自社で簡単に更新できる環境づくりが非常に大切です。情報の量と更新速度をあげることで、Googleなどの検索エンジンの評価が上がり、求める成果が出やすくなります。
CMSと言えばWordPressと思い浮かぶという方も多いと思いますが、WordPressが世界で一番使われている理由とその他のCMSについて種類や代表的な機能を紹介します。
CMS(Contents Management System)とは
CMSは、Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)の略称で、Webサイトを構築、管理するためのコンテンツをまとめたものを指します。
通常、Webサイトを制作するにはHTMLやCSS、JavaScriptなどのプログラミング言語を使用してコンテンツを作成します。コンテンツとは、Webサイト内の文字や画像、動画などで構成される情報であり、ホームページの基本的な構成要素です。
CMSは、Webサイトの制作や管理に必要なツールが揃っているため、簡単なWebサイトであればプログラミングスキルがなくても制作できる仕組みになっています。Webサイト制作によく使用されているWordPressもCMSの1つであり、世界で最も使用されています。
2022年12月22日時点での世界CMSシェアランキング10
順位 | CMS名 |
1 | WordPress(シェア率63.8%) |
2 | Shopify(シェア率5.8%) |
3 | Wix(シェア率3.5%) |
4 | Squarespace(シェア率3.0%) |
5 | Joomla(シェア率2.6%) |
6 | Drupal(シェア率1.8%) |
7 | Adobe Systems(シェア率1.7%) |
8 | Google Systems(シェア率1.2%) |
9 | Bitrix(シェア率1.1%) |
10 | PrestaShop(シェア率1.0%) |
引用:W3Techs「コンテンツ管理システムの使用統計」
2022年12月22日時点での日本CMSシェアランキング10
順位 | CMS名 |
1 | WordPress(シェア率83.6%) |
2 | Adobe Systems(シェア率3.0%) |
3 | Shopify(シェア率2.0%) |
4 | EC-Cube(シェア率1.9%) |
5 | JustSystems Homepage Builder(シェア率1.5%) |
5 | Color Me Shop(シェア率1.5%) |
7 | MakeShop Japan(シェア率1.2%) |
8 | Jimdo(シェア率0.9%) |
9 | Liedoor Blog(シェア率0.7%) |
10 | Futureshop(シェア率0.6%) |
引用:W3Techs「日本語を使用するWebサイト間でのコンテンツ管理システムの配布」
世界でも高いシェア率のWordPressですが、日本ではさらに圧倒的なシェア率を誇ります。世界的にシェア率が高いからこそ、インターネット上でセミナーなども開催されており、不明点が調べられるため安心して利用できます。
CMS導入によるWebサイト制作の変化
CMSを導入しているWebサイトと未導入のWebサイトを比較して、Webサイトを制作する上での変化を解説します。
CMS未導入のWebサイト制作
CMSを導入していない場合、HTMLやCSSなどのプログラミング言語を用いて、Webサイトのデータを作成する必要があります。高度なプログラミング知識と、1ページずつデータを作成しなくてはいけないため、作業工数が増加します。
CMS導入しているWebサイト制作
CMSのデータベースに保存されているテンプレートデータなどを組み合わせて、Webページを作成できます。Webページが自動的に精製されるため、作業工数を削減でき、簡単にWebサイトを更新することが可能です。
CMSの種類
Webサイトを運営するにあたって重要となる、CMSの種類について解説します。
CMSを使用してWebサイトを制作する場合は、予算や目的に合わせて選択することをおすすめします。
オープンソース型CMS
オープンソース型CMSは、主に小規模Webサイト向けのCMSです。
オープンソースが公開されており、誰でも無料で利用できます。簡単なカスタマイズも可能なため、個人はもちろん企業も多く利用しています。
代表的なCMSにWordPressが挙げられます。
多くの人が利用する一方で、商業利用を前提としていない物もあるため、大規模サイトの運営時には注意が必要です。オープンソース型では公式サポートがない場合が多く、不具合やセキュリティ面は各自で対策を行います。仮に障害が発生し、Webサイトが閲覧できなくなっても自己責任なため注意しましょう。
商用パッケージ型CMS
商用パッケージ型CMSは、主に中〜大規模Webサイト向けのCMSです。
システムベンダーなどが販売しているCMSを、商用パッケージ型と呼びます。さまざまなサイトタイプに合うCMSをいろいろな企業が提供しているので、制作したいWebサイトに合わせて柔軟に選択ができます。
サーバーやパソコンに取り込み使用するCMSとなっており、ライセンス費用などのコストはかかりますが、商用利用を目的として公式サポートなども充実しているので安心して運用することが可能です。
クラウド型CMS
ベンダーが管理するクラウドサーバーにデータを保管し、利用するCMSです。サーバの準備やソフトウェアの導入などがほぼ必要なく、コストを抑えながら手軽に導入できます。
自社コンテンツの規模に応じて、リソースの削除や追加が行えるのも魅力です。
フルスクラッチ型CMS
構築するWebサイトに合わせて、独自に開発されたCMSです。自社ならではの仕様や、システム連携などオリジナリティが出しやすいのが魅力です。
自社に最適な運用はできるものの、他のCMSと比較し企画から設計までのコストが高いのがデメリットとして挙げられます。また、Webサイト制作会社などに依頼をする場合は、制作コストや運用コストがかかります。
本格的に運用をしたい場合には適していますが、すぐにWebサイトが必要と言う場合には向いていないでしょう。
CMSの主な機能
CMSの主な機能はコンテンツ作成・編集とユーザー管理、サイトマップ機能、SEO機能です。
コンテンツ作成・編集
一般的にWebサイトを制作するには、文章を記載したりHTMLファイルを作成したり、画像やHTMLファイルをサーバーにアップロードする手間がかかります。
CMSを利用することで、テキストエディタに文章を入力する要領でコンテンツを簡単に作成できます。テキスト・表・画像なども直感的に挿入でき、簡単なHTMLやCSSの知識があれば広告や入力フォームなどの設置も可能です。
ユーザー管理
CMSにはユーザー管理機能がついています。複数人でWebサイトを管理する際に、担当者ごとにIDと権限を分けて利用できます。
例えば、すべての操作ができる管理者やコンテンツに関する操作ができる編集者、記事の投稿や編集、公開ができる投稿者など役割や権限ごとに分けて管理できます。
ユーザー管理をすることで、権限のない方がコンテンツを誤って操作するリスクを軽減でき、操作ミスによるコンテンツの削除なども防ぐことができます。
サイトマップ機能
サイトマップとはWebサイトの構造をまとめたものを指します。
サイトマップを作成することで、Googleなどの検索エンジンにコンテンツを見つけてもらいやすくなります。そのため、CMSに限らず多くのユーザーに見てもらえるWebサイトを制作するには、サイトマップが必要不可欠です。
CMSには、自動でサイトマップを作成してくれる機能があるため、コンテンツ作成や削除時に自分でサイトマップを更新する必要はありません。
SEO機能
より多くのユーザーに見てもらえるWebサイトにするには、Googleなどの検索エンジンで上位に表示される必要があります。そのために行う対策をSEOと言います。
CMSにはSEOを最適化するための機能があるので、コンテンツ作成と同時にSEOを最適化できます。
例えば、Webサイトが検索結果に表示されるタイトルや100文字程度の短い概要文であるディスクリプションなどをコンテンツごとに設定できます。また、キーワードやURLの最適化などもできるため、SEOを初めて行う方にもおすすめです。
CMSを導入するメリットとデメリット
CMSを導入するにあたって、メリットとデメリットがあります。ポイントを押さえて利用することで、効率的にWebサイトを制作することができます。
Web開発のスキルがなくてもWebサイトを制作できる
CMSは直感的に操作ができるため、プログラミング未経験でも簡単なWebサイトであれば問題なく制作することが可能です。また、CMSの場合はログインIDとパスワードがあれば複数人で利用できるので、担当者を分けて管理できることも魅力の1つです。
特に企業の場合、同じWebサイトの更新作業を別々の部署で担当することもあります。それぞれで編集・作成作業を進められるため、効率よくコンテンツをアップできます。
マルチデバイスに対応できる
近年、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからWebサイトを閲覧する方も増えています。そのため、マルチデバイスに対応しているWebサイトを制作する必要があります。
例えば、Webサイトを表示した際にパソコンとスマートフォンでは表示される画面サイズが異なります。マルチデバイスに対応していない場合、対応するデバイス以外でWebサイトを閲覧すると、デザインが崩れて見にくいと言った事態が起こってしまいます。
CMSであれば、パソコンはもちろんスマートフォンやタブレットなどマルチデバイスに対応したデザインでWebサイトが制作できるため、デザインが崩れる心配がありません。
発注コストを削減できる
CMSを使用せずにWebサイトを制作する場合、プログラミングなどの知識がある社員に任せる方法と、Web制作会社など外部に発注して制作してもらう方法の2パターンあります。
外注する場合は制作コストや運営コストがかかるため、無料CMSを利用して自社サイトを制作することでコストをかけずにWebサイトを制作できます。できるだけコストを押さえつつ、品質のいいWebサイトを制作したい場合は、CMSの利用がおすすめです。
基礎的な操作方法の取得が必要
CMSはプログラミングなどの知識がなくても簡単なWebサイトを制作できます。
しかし、CMSを操作するうえで、最低限の操作方法は覚えなくてはいけません。特に、カスタマイズをする場合、ある程度HTMLやCSSのコードを記載する必要もあるため、基礎知識を身に付けておくと安心です。
セキュリティ対策が必要
Webサイトを運営するには、不正アクセスなどのセキュリティ対策が必要不可欠です。
なかでも無料で利用でき、ソースコードが公開されているオープンソース型のCMSはセキュリティの脆弱性が指摘されています。
無料で利用しているとはいえ、情報流出などは避けなくてはいけません。
そのため、独自でセキュリティ対策を行うことをおすすめします。CMSにはプラグインと呼ばれる拡張機能を追加できるため、セキュリティを強化できるプラグインを導入しましょう。
例えば、WordPressであれば管理画面やログイン画面のセキュリティを強化できるプラグインや、スパムを防止するプラグインなどがあります。
このようにプラグインなどでセキュリティ対策を行えるものの、自力でセキュリティ対策をする必要がある点がデメリットと言えるでしょう。
大幅なカスタマイズには不向き
CMSはテーマやプラグインを活用すれば、簡単なカスタマイズが可能です。
しかし、テーマから大幅なデザインを変更したい場合には、CMSではカスタマイズしきれないケースもあります。もし、独創的なWebサイトやデザイン性の高いWebサイトを制作したいのであれば、CMSを利用しない選択肢も検討する必要があると言えるでしょう。
代表的なCMS6選
ここでは無料、有料の代表的なCMSを6つ紹介します。
WordPress(無料)
引用:WordPress
WordPressは無料CMSのなかでも利用者が多く、世界的にシェア率が高いサービスです。
操作画面が分かりやすく、直感的に操作ができるのでWebサイト制作が初めての方にもおすすめです。しかし、WordPressを利用する場合、独自ドメインを取得したりレンタルサーバーを利用する必要があります。他の無料CMSとは違い、個人で準備をする必要があるため、すぐに使い始めることができない点に注意してください。
Wix(無料)
引用:Wix
Wixは、世界190ヵ国で利用され人気が出始めているCMSの1つです。ドラッグ&ドロップで直感的にWebサイトの制作や運営が可能です。アカウントを作成してから、好みのデザインのテンプレートを選択するだけでWebサイトが公開できるため、ドメインやサーバーを準備する必要がありません。また、有料で独自ドメインの取得も可能です。
Jimdo(無料)
引用:Jimdo
Jimdoは無料CMSの中でもは比較的ユーザーが少なく、約200万人が利用しているサービスです。
アカウントを作成後にデザインを選択し、写真や動画を追加するだけですぐにWebサイトを公開できます。非常に簡単で直感的に利用できるため、なるべく早くWebサイトを制作したい方におすすめです。
NOREN(有料)
国内でトップクラスの導入実績があるCMSです。
大規模サイトから小規模サイトまで幅広く対応しています。またNORENサーバーと公開用サーバーが切り離されて管理されているため、サーバーダウンのリスクを軽減できます。
a-blog cms(有料)
国産CMSで、使いやすさが魅力です。
Webサイト運営が長く続けられるCMSをコンセプトにしており、柔軟なカスタマイズがしやすくサポート体制も充実しています。
メールやオンラインサポート、対面サポートにも対応しているため、不明点があった場合でも安心して利用できます。
HeartCore(有料)
シェアは高くはありませんが、マルチデバイスや多言語対応を可能にしたCMSです。
最近では、日本だけでなく海外からWebサイトにアクセスするケースもあるため、多言語に対応することで利益につながるケースがあります。
海外の利用者も取り込みたい場合は、HeartCoreがおすすめです。
まとめ
今回は、CMSについて特徴やメリットなどを紹介しました。
個人でエンジニアなどの専門知識を有している方や、社内にWebに関する専門家がいる場合など、CMSを利用しなくても十分に運用が可能な場合を除きCMSは必要です。
CMSは進化し続けており、ホームページをただ簡単に更新するだけでなく、Web上の情報資産を管理し適切なメディアに適切なコンテンツを配信できます。また、あらゆるメディアを紐づけて連動させることで、効率よくWebマーケティングを行えます。
そのため、CMSは土台の環境作りの根幹と言え、Webサイト制作に必要不可欠と言えるでしょう。
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